お役立ちコラム
だしソムリエが教えるキャリーオーバーとは?食品表示で見落としやすい添加物の読み方
キャリーオーバーとは何かを食品表示の見方から解説。だしパックや削り節を選ぶ際の注意点も紹介します。
こんにちは!天野鰹節店です。
食品表示を見ていると、原材料名に添加物が書かれていないのに、キャリーオーバーという言葉を知って不安になる方は多いです。
この記事では、キャリーオーバーとは何か、食品表示で省略される条件、だしパックや削り節を選ぶときの見方を分かりやすく紹介します。
この記事を読むと、表示に書かれない添加物の考え方と、家庭で安心してだし素材を選ぶ判断軸が分かります。
無添加表示の意味を正しく知りたい方、だし・鰹節を選ぶときに原材料表示をしっかり確認したい方はぜひ最後まで読んでみてください!
キャリーオーバーは表示省略

食品表示でいうキャリーオーバーとは、原材料に使われた添加物が最終食品に持ち越されても、一定の条件を満たすと表示を省略できる仕組みです。
表示欄に名前がないから、添加物が一切ないとすぐ判断できない点が大切です。
キャリーオーバーとは原料由来
キャリーオーバーは、食品を作る途中で直接加える添加物ではありません。
たとえば、調味液、エキス、しょうゆ、たん白加水分解物などの原材料に使われていた添加物が、完成した食品へ移る場合があります。
このような添加物を、食品表示ではキャリーオーバーとして扱います。
だしパックでも、かつお節や昆布だけの商品と、食塩、砂糖、酵母エキス、粉末しょうゆなどで味を整えた商品があります。
私が市販のだしパック91種類の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種、つまり33%でした。
一方で、原材料欄に添加物を含む商品は37種、41%ありました。
キャリーオーバーを知る第一歩は、添加物が「最終商品に直接入ったもの」だけではないと理解することです。
効果が残らない場合です
キャリーオーバーで表示省略が認められるポイントは、完成した食品の中で添加物としての効果が残らないことです。
保存料なら保存する力、着色料なら色を付ける力、甘味料なら甘みを付ける力が、最終食品で目的どおり働いていない場合に該当します。
たとえば、原料のしょうゆに保存料が使われていても、そのしょうゆを少量だけ使った食品で保存効果が発揮されない場合があります。
この場合、条件を満たせば最終食品の添加物欄に表示されないことがあります。
反対に、完成品の味、色、保存性に明らかに働く量で残るなら、キャリーオーバーとは考えにくくなります。
- 由来:原材料に使われた添加物
- 残り方:最終食品へ微量に持ち越し
- 働き:完成品で効果を発揮しない
- 表示:条件を満たすと省略可能
食品表示基準で扱います
キャリーオーバーは、メーカーの感覚で決めるものではありません。
食品表示法に基づく食品表示基準の中で、添加物表示の例外として扱われます。
食品表示では、原材料名、添加物、アレルゲン、内容量、賞味期限などを一定のルールで記載します。
その中に、表示を省略できる場合の考え方も含まれています。
ただし、表示省略の仕組みがあるため、消費者が原材料表示だけを見て「添加物ゼロ」と断定することは難しい場合があります。
だし商品の売り場でも、「無添加」と大きく書かれた商品に、食塩、砂糖、エキス類で調味された商品がありました。
私の調査では、そのような商品は24種、26%でした。
食品表示は、書かれている言葉だけでなく、書かれない場合がある仕組みまで読むことが大切です。
食品表示で省略できる条件

食品表示法の原材料表示では、食品添加物を使ったら必ず全部を書く、という単純な仕組みではありません。
キャリーオーバーとは、原材料に由来して最終食品へ持ち越されても、一定の条件を満たすと表示を省略できる考え方です。
食品表示で省略できる条件は、最終食品の中で添加物としての効果を発揮しないことが大前提です。
最終食品で効かない
キャリーオーバーで表示省略が認められる代表的な条件は、添加物が最終食品の中で保存料、着色料、甘味料などの目的を果たしていない場合です。
たとえば、しょうゆに使われた保存料が加工食品に少量入っても、完成した食品全体を保存する力がない場合は、表示省略の対象になり得ます。
だしパックでも、原料の調味料やエキス類に由来する成分が、完成品で添加物として効いていないかが確認点になります。
使用量が少ない
キャリーオーバーは、原材料中の添加物が完成品へ移る仕組みです。
そのため、使用量がごく少なく、完成した食品で技術的効果を発揮しない場合に表示省略が検討されます。
ただし、少量なら必ず省略できるわけではありません。
完成品で色を保つ、日持ちを助ける、味を調えるなどの働きが残る場合は、食品表示で添加物として書く必要があります。
「少ないから表示しない」ではなく、「少なく、かつ効いていないから省略できる」と読むのが正確です。
原料には使われる
キャリーオーバーは、完成品に直接加えた添加物ではなく、原料側に使われた添加物が持ち込まれる場合に関係します。
だし商品では、かつお節、さば節、いわし煮干し、昆布のような素材だけの商品では起こりにくい一方、たん白加水分解物、酵母エキス、粉末しょうゆ、調味エキスなどを使う商品では確認が必要です。
私が市販のだしパック91種類の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種でした。
一方で、原材料欄に添加物を含む商品は37種ありました。
- 原料:調味料やエキス類を使っているか
- 完成品:添加物としての効果が残るか
- 表示欄:添加物欄やスラッシュ以降を確認する
一括名とは別の考えです
一括名とは、同じ目的で使う添加物をまとめて表示できる制度です。
たとえば、調味料(アミノ酸等)、香料、乳化剤、酸味料などが一括名にあたります。
キャリーオーバーは、条件を満たした場合に表示そのものを省略できる考え方です。
つまり、表示欄に「調味料(アミノ酸等)」と書かれていれば、添加物が表示されています。
表示欄に書かれていない添加物が、原料由来で最終食品に効果を持たない場合に、キャリーオーバーの論点になります。
キャリーオーバーの具体例

キャリーオーバーは、完成した食品の食品表示だけを見ても気づきにくい仕組みです。
原材料に使われた調味料やエキスへ入っていた食品添加物が、最終食品では効果を発揮しないほど少ない場合、表示省略の対象になることがあります。
しょうゆの保存料
たとえば、佃煮やたれの原材料にしょうゆが使われている場合、しょうゆに保存料が含まれていても、完成品で保存効果を目的としていなければキャリーオーバーとして表示省略される場合があります。
「原材料名に添加物がない」ことと「製造過程で添加物由来の成分が一切ない」ことは同じではありません。
- 対象:佃煮やたれ
- 由来:しょうゆに含まれる保存料
- 表示:最終食品で省略される場合
エキスの調味料
チキンエキス、ポークエキス、酵母エキス、魚介エキスなどは、うま味を補う原材料として使われます。
エキスを作る段階で調味料や加工助剤が関わる場合があります。
私が市販のだしパック91種類の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種、33%でした。
一方で、「無添加」と表示があっても食塩・砂糖・エキス類で調味された商品は24種、26%ありました。
「無添加」の文字だけで判断せず、エキス類の有無まで読むことが大切です。
香料や乳化剤の例
菓子、調味だれ、加工食品では、原材料に使われる油脂、粉末調味料、香味素材に香料や乳化剤が含まれることがあります。
完成品で香り付けや乳化の効果を持たない程度であれば、食品表示で省略できる場合があります。
だし商品でも、粉末スープや調味顆粒が入る商品は、原材料の階層を意識して読む必要があります。
- 粉末調味料:添加物由来を確認
- 香味油:香料の有無を確認
- エキスパウダー:調味目的を確認
- たん白加水分解物:うま味補強を確認
だし原料でも確認します
鰹節屋の店頭でも、お客様から「だしパックなら全部同じですか」と聞かれます。
素材だけの商品は、かつおのふし、そうだかつおのふし、さばのふし、いわし煮干し、昆布などが並びます。
調味済み商品は、食塩、砂糖、エキス類、酵母エキス、調味料などが加わります。
私の調査では、原材料欄に添加物を含むだしパックは37種、41%でした。
だし原料は「魚の名前」だけでなく、原材料欄の最後まで読むことが大切です。
食品表示で見る無添加

だしパックや顆粒だしの食品表示を見ると、「無添加」という言葉が大きく書かれている商品があります。
安心材料に見えますが、キャリーオーバーとは別に、無添加表示そのものの読み方にも注意が必要です。
無添加の定義は広い
無添加表示は、「すべての調味成分が入っていない」という意味とは限りません。
たとえば「化学調味料無添加」は、うま味調味料を使っていない表示です。
食塩、砂糖、酵母エキス、かつおエキスなどを使っていても、表示ルール上は無添加と表現される場合があります。
鰹節屋の店頭でも、「無添加と書いてあるのに味が濃い」と相談されることがあります。
食塩や砂糖は添加物外
食品表示では、食塩や砂糖は食品添加物ではなく原材料です。
そのため、原材料名に「食塩」「砂糖」と書かれていても、添加物欄には入りません。
だしパックの場合、塩味を整えるために食塩を加えた商品があります。
減塩中の家庭や、味噌汁の塩分を調整したい家庭では、無添加の文字より原材料欄の順番を確認することが大切です。
- 食塩:塩味を補う原材料
- 砂糖:甘みや丸みを足す原材料
- 酵母エキス:うま味を補う原材料
- 魚介エキス:だし感を強める原材料
エキス類も要確認
エキス類は、かつおエキス、昆布エキス、しいたけエキス、酵母エキスなど種類が多い原材料です。
エキス類は食品添加物ではないため、添加物不使用の表示と一緒に使われる場合があります。
素材だけでだしを取りたい人は、原材料欄が「かつおのふし」「そうだがつおのふし」「昆布」「椎茸」などで構成されているか確認してください。
無添加表示を見るときは、添加物名だけでなく、調味目的の原材料まで読む必要があります。
91種調査で実態を見る
私が2026年7月に市販のだしパック91種類、33社の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種で33%、およそ3本に1本でした。
一方、「無添加」と表示があっても食塩・砂糖・エキス類で調味された商品は24種で26%でした。
原材料欄に添加物を含む商品は37種で41%でした。
無添加という言葉だけで判断すると、家庭で思っていた味づくりとずれることがあります。
だしの食品表示はここを見る

だしパック、顆粒だし、液体だしは、商品名だけでは中身を判断しにくい食品です。
食品表示では、原材料名、添加物、食塩相当量の順に見ると、キャリーオーバーとは別に、最初から調味された商品かどうかも読み取りやすくなります。
原材料名を最初に見る
原材料名は、使用量が多い順に書かれます。
かつおのふし、さばのふし、いわし煮干し、昆布、椎茸などが並ぶ商品は、素材のだしに近い設計です。
食塩、砂糖、酵母エキス、たん白加水分解物が前のほうにある商品は、だし素材より調味の役割が強い場合があります。
だし商品の中身は、表面のキャッチコピーではなく、裏面の原材料名で確認します。
スラッシュ以降を見る
食品表示では、原材料と添加物を「/」で区切る表示が一般的です。
だし商品では、調味料(アミノ酸等)、酸化防止剤、香料、増粘剤などがスラッシュ以降に書かれることがあります。
キャリーオーバーに該当する添加物は表示省略される場合がありますが、商品に効果を発揮する添加物は表示対象です。
調味料(アミノ酸等)の有無は、だしの味の作り方を知る大切な手がかりです。
素材名だけか確認する
私が2026年7月に市販のだしパック91種類、33社の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種で33%でした。
つまり、売り場にあるだしパックのすべてが素材だけではありません。
鰹節屋の店頭でも「だしパックなら全部同じだと思っていた」と驚かれるお客様は多いです。
- かつおのふし:だし素材
- さばのふし:だし素材
- いわし煮干し:だし素材
- 昆布:だし素材
- 椎茸:だし素材
調味料入りを見分ける
同じ調査では、「無添加」と表示があっても食塩、砂糖、エキス類で調味された商品が24種、26%ありました。
原材料欄に添加物を含む商品は37種、41%でした。
無添加表示は、添加物を使っていないという意味で使われる場合がありますが、食塩やエキス類は食品扱いの原材料です。
「無添加」と「素材だけ」は、食品表示では同じ意味ではありません。
- 食塩:塩味を足している
- 砂糖:甘みを足している
- 酵母エキス:うま味を補っている
- たん白加水分解物:調味目的で使われる
- 調味料(アミノ酸等):添加物欄で確認する


家庭だしも食品表示が大切
家庭でだしを取るときは、食品表示のキャリーオーバーを怖がる前に、原材料表示が読みやすい素材を選ぶことが大切です。
素材から作るだしは、味の組み立てが見えやすく、食塩やエキス類に頼りすぎない献立作りにも役立ちます。
削り節は表示が単純
削り節の原材料表示は、かつおのふし、さばのふし、いわしの煮干しなど、素材名が中心です。
調味済みのだし商品と比べると、食品添加物、食塩、砂糖、酵母エキスの有無を判断しやすい点が特徴です。
家庭のだしで表示を単純にしたい場合、まず削り節そのものを選ぶ方法が実践しやすいです。
昆布と節で味を作る
昆布にはグルタミン酸が多く、鰹節やさば節にはイノシン酸が含まれます。
昆布と節を合わせると、うま味の相乗効果で汁物の満足感が出ます。
天野鰹節店の店頭でも、みそ汁には花かつお、煮物にはさば節を足すなど、料理ごとに組み合わせを案内しています。
- 昆布:やさしいうま味の土台
- 鰹節:香りと上品な余韻
- さば節:濃いコクと力強さ
- いわし節:甘みと深い風味
混合だしは手順が要
混合削り節を使う場合は、①水1リットルに昆布20g以上を入れ、40分から一晩ほど浸ける(夏季は冷蔵庫で)。
その鍋を弱中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出して昆布だしを作る。
②昆布だし1リットルに対し混合削り節30g以上を入れ、中強火で7分から10分火にかける。
だしがらを濾して出来上がり。
用途は、みそ汁・煮物・おでん・うどん・そばのかけ汁・鍋物などです。
分量と火加減を守ると、素材だけでも濃いだしに仕上がります。
用途で節を選びます
私が市販のだしパック91種類の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種で33%でした。
一方で、「無添加」と表示があっても食塩・砂糖・エキス類で調味された商品は24種で26%、原材料欄に添加物を含む商品は37種で41%でした。
家庭のだしは、表示の言葉より原材料欄と用途で選ぶと失敗しにくくなります。
- みそ汁:花かつおで香りを出す
- 煮物:さば節でコクを足す
- うどん:混合削り節で厚みを出す
- お吸い物:血合い抜きで澄んだ香り
まとめ:食品表示を知る
キャリーオーバーとは、食品の原材料に由来する添加物が、最終食品では効果を発揮しない場合に食品表示で省略できる仕組みです。
表示が短い商品ほど安全、表示が長い商品ほど不安、と決めつける前に、原材料名と添加物表示の読み方を知ることが大切です。
省略には条件がある
キャリーオーバーは、添加物を自由に表示しなくてよい制度ではありません。
食品表示基準では、原材料から持ち込まれた添加物が最終食品で効果を発揮しない場合などに限り、表示省略が認められます。
たとえば、しょうゆに使われた保存料が、つゆ全体では保存効果を持たない場合などが考えられます。
一方で、甘味、保存、着色などの働きが商品に残る場合は、原則として添加物表示が必要です。
- 原材料名:使用量が多い順に並ぶ
- 添加物:スラッシュ以降などに書かれる
- 省略:条件を満たす場合だけ可能
- 効果:最終食品で働くか確認する
無添加は中身を見る
私が市販のだしパック91種類、33社の原材料表示を1つずつ調査したところ、原材料が素材だけの完全無添加は30種で33%でした。
一方で、「無添加」と表示があっても食塩、砂糖、エキス類で調味された商品は24種、26%ありました。
原材料欄に添加物を含む商品は37種、41%でした。
無添加という言葉は、素材だけで作られていることを必ず意味するわけではありません。
鰹節屋の店頭でも、パッケージ正面より裏面の原材料表示を見たお客様ほど、納得して商品を選ばれます。
だしは原材料で選ぶ
だし商品を選ぶときは、かつお節、宗田節、さば節、いわし煮干し、昆布、椎茸などのだし素材が中心か確認します。
次に、食塩、砂糖、酵母エキス、たん白加水分解物、調味料(アミノ酸等)などの調味成分を見ます。
家庭で味を決めたい場合は、素材だけの商品を選ぶと、みそ汁や煮物の塩分調整がしやすくなります。
食品表示の仕組みを知ることは、不安を増やすためではなく、自分の家庭に合うだしを選ぶための道具です。
- 素材:魚節や昆布の種類を見る
- 調味料:食塩や砂糖の有無を見る
- エキス類:うま味の足し方を見る
- 添加物:調味料や保存料の表示を見る
- 用途:家庭で味付けするか決める
◆ キャリーオーバーは表示省略
- キャリーオーバーとは原料由来
- 効果が残らない場合です
- 食品表示基準で扱います
◆ 食品表示で省略できる条件
- 最終食品で効かない
- 使用量が少ない
- 原料には使われる
- 一括名とは別の考えです
◆ キャリーオーバーの具体例
- しょうゆの保存料
- エキスの調味料
- 香料や乳化剤の例
- だし原料でも確認します
◆ 食品表示で見る無添加
- 無添加の定義は広い
- 食塩や砂糖は添加物外
- エキス類も要確認
- 91種調査で実態を見る
◆ だしの食品表示はここを見る
- 原材料名を最初に見る
- スラッシュ以降を見る
- 素材名だけか確認する
- 調味料入りを見分ける
◆ 家庭だしも食品表示が大切
- 削り節は表示が単純
- 昆布と節で味を作る
- 混合だしは手順が要
- 用途で節を選びます



